妊娠後の中絶が認められるケースとは?
妊娠しても何らかの事情により出産を望まない場合などには、中絶することになります。
いわゆる「子どもを堕ろす(おろす)」ということです。
ただし、どんな場合でも自由に子どもを堕ろせるわけではありません。
中絶してもよいケースについては母体保護法という法律で決められていて、それに反することはできないことになっているのです。
ちなみに、子どもを堕ろす中絶のことを、人工妊娠中絶といいます。
ただの妊娠中絶ですと、流産や死産など、病気や事故などによってお腹の中の赤ちゃんが亡くなったケースのことになってしまいます。
病気や事故などで亡くなるのではなく、人工的な手段によって亡くなるという意味で、人工という言葉が付け加えられているのです。
話を戻しますが、母体保護法とは、不妊手術や人工妊娠中絶についての法律です。
法律で認められた、人工妊娠中絶してもよいケースは、ふたつあります。
ひとつは、そのまま妊娠を続けたり、出産したりすると、妊婦自身の健康に大きく影響する場合です。
これには身体的な理由によるものと、経済的な理由によるものがあります。
身体的な理由とは、妊娠の継続や出産によって、ご本人の体が危険な状態になる恐れがある場合のことです。
経済的な理由とは、妊娠の継続や出産によって、生活していくことが厳しくなる場合などのことです。
人工妊娠中絶をしてもよい、もうひとつのケースは、婦女暴行(いわゆるレイプ)や、脅迫されてセックスさせられた結果、妊娠した場合などです。
これら以外のケースでの人工妊娠中絶は認められておりませんので、ご注意ください。
なお、母体保護法で人工妊娠中絶が認められているのは、妊娠22週未満までです。
妊娠22週目に入ってしまいますと人工妊娠中絶は行なうことができませんので、その点にも注意していただければと思います。
妊娠後の中絶は、希望すればしてもらえるとは限らない!?
意外なことかも知れませんが、妊娠後の中絶は、病院に行って頼めば必ずしてもらえる、というものではありません。
これも母体保護法で決められているのですが、既にご紹介したような「人工妊娠中絶が認められるケース」に当てはまっている、と医師が判断した場合にだけ、人工妊娠中絶をしてもらえるのです。
ですから、医師が当てはまっていないと判断した場合には、人工妊娠中絶をしてもらうことはできません。
つまり、医師から手術を拒否されることもある、ということです。
また、医師なら誰でもよいというわけではありません。
人工妊娠中絶をしてもよいと認められているのは、都道府県の医師会が設置した委員会で指定された医師だけです。
指定されていない医師には、人工妊娠中絶の手術をする資格は、最初からありません。
手術をした場合には当然、法律違反となり、場合によっては懲役となる可能性もあります。
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妊娠後の中絶を行なうための手続きで必要な書類とは?
妊娠後に中絶することになり、指定医師からも認められた場合には、手続きに必要な書類を揃えなければなりません。
必要な書類は、基本的には3つあります。
ひとつめは、中絶の同意書です。
人工妊娠中絶に同意するという内容のもので、ご本人と相手の男性それぞれの署名と捺印が必要です(つまり、2人分のサインとハンコが必要だということです)。
母体保護法で決められたことですので、これは必ず提出しなくてはいけません。
ただし、状況によっては、ご本人の署名と捺印だけでよい場合もあります。
具体的には、相手の男性が誰だか分からない場合や、相手の男性が既に死亡したり、行方不明になっている場合、あるいは相手の男性が何らかの理由で意思表示ができない場合です。
ふたつめの必要な書類は、本人確認のための身分証明書です。
保険証や運転免許証、パスポートが一般的です。
病院によって、ほかのものでも代用できたり、現住所が確認できるものも必要だったりと、微妙にちがうことがあります。
くわしくは手術をお受けになる病院でご確認ください。
みっつめは保護者の同意書ですが、これが必要なのは、妊婦が未成年の場合だけです。
妊婦が大人の場合には必要ありません。
また、病院によっては未成年ではなく、18歳未満の場合にのみ必要、というところもあります。
妊娠してからの期間によって、中絶の手術には2種類ある
妊娠何週目に中絶を行なうかによって、中絶のための手術は2種類に分かれます。
妊娠12週未満までに行なう手術のことを、初期人工妊娠中絶手術といいます。
手術にかかる時間は短めで、体への負担も軽めです。
費用もそれほど高くはありません。
妊娠12週から妊娠22週未満までに行なう手術のことは、中期人工妊娠中絶手術といいます。
手術にかかる時間は長めで、体への負担も大きいため、手術後に数日間の入院をすることがほとんどです。
また、費用も高めです。
初期人工妊娠中絶手術は多くの病院で可能なのですが、中期人工妊娠中絶手術は手術の規模が大きくなり、さまざまな手続きも必要となるため、限られた病院でしか受けることはできません。
そういった意味では、初期人工妊娠中絶手術の方が受けやすい、ということもできます。
ただ、妊娠12週未満までしか出来ませんから、早い段階での決断が必要になってきます。
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